3年半前の東日本大震災の際には、私達いわき市民も全国から多くの皆様のご支援を頂きました。当時、原発事故の不安や大きな余震が続く中、あえていわき市に入り、様々な活動に従事して下さったボランティアの皆様、市民生活の要であるライフラインの復旧作業に際しましてご尽力下さった工事関係者の皆様など、多くの皆様に支えられ助けられました。その多大なご支援を頂きました事、一市民として改めて心より御礼を申し上げます。また、その後もいわき市にて活動を続けて下さっている皆様、継続してご支援下さっている皆様に、心より感謝を申し上げます。そのお気持ちにお応えするべく、震災後、自ら地元を盛り上げようと立ち上がる市民団体も数多く誕生しています。NPO法人に限定すれば、震災後いわき市で設立された団体は45団体に及び、その約4割は被災者支援や、被災地復興事業を主とします。震災後の混乱期の中において、早期に法人を立ち上げ活動を始められた皆様にも、同じ市民として心より敬意を表します。
私達は市内において、震災後46番目のNPO法人として、9月に福島県より設立認証を受けました。いわき市の復興事業に関われるものをと思い、町づくりの一環として、イルミネーションと再生可能エネルギー発電の2つの事業を柱に活動を行いたいと考えました。原発事故後、福島県は再エネ発電を推進しており、風評被害に苦悩してきたいわき市も同様です。私達も将来的には、市民生活の電力を可能な限り再エネで賄いたいと思っています。また、イルミネーションにも電力は不可欠です。そこで、全国のイルミネーションについて調べると、震災後、その電力の多くはグリーン電力の購入(再生可能エネルギーの電力)にシフトしていると知りました。グリーン電力で灯すイルミネーションなら倫理的にも問題なく行う事が出来ます。私達も当面、屋外でのイルミネーション施工の際には、グリーン電力の購入で電力を賄うことで、早期の施工を目指す事に致しました。そして、将来的には再エネ発電所の設置につなげていけるように活動をしていきたいと思います。 |
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イルミネーション事業に関しては、「なぜイルミネーションなのか?」とよく聞かれます。NPOとしては異色なのかもしれませんが、それは、私達の前身がよさこいチームであった事と震災が大きく影響しています。私達のチーム内では、直接の津波被害を受けた者はなく、地震被害も大きな難は免れましたので、市内の津波被災地の現状を目の当たりにする度に「自分達は被災地には居るが被災者ではないのでは?」「自分達にも出来ることがあるのでは?」と思うようになりました。2003年に、地元の活性化に少しでも尽力したいとよさこいチームを結成し、様々なイベントや市内施設で踊り続けてきた私達でしたが、生きること、生活する事でみんなが必死だったあの震災直後の数か月間は、自分達の存在価値を見いだす事が出来ませんでした。あの当時は、私達だけでなく、全国、いや世界中の皆さんが「自分に何が出来るのか」と思っていたのではないでしょうか。 |
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思いだけが先走り、何も出来ずに時間だけが経過、悶々とした思いを抱えていた時、津波で被災した道の駅復興イベントに声がかかりました。そして、それを機に改めて「よさこいチームとしていわきを盛り上げたい」と活動を再開、2012年まで全力で復興イベント等に参加させて頂きました。震災後の福祉施設等でのイベントでは、今まで以上に多くの市民の皆さんと楽しい時間を共有する事が出来ました。皆さんが本当に楽しめる事を欲していると感じた年でもありました。10年間、よさこいチーム「いわき聖龍会」として、数多くのイベントに出演させて頂き、皆さんの笑顔に出会えた事が何よりの私達の宝です。この場にて、改めて「いわき聖龍会」に関わって頂いた全ての皆様に心より感謝を申し上げます。 |
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よさこいチームを解散後、私達は「もっと大勢の市民の皆さんと一緒に楽しめるものはないか」と探し続けていました。そして出逢ったのが大地を彩る雄大なイルミネーションでした。その神秘的な光景を見た瞬間「これだ!」とインスピレーションが沸きました。そしてイルミネーションについて調べると、そのタイプには様々な種類がある事、また、阪神淡路大震災で甚大な被害のあった神戸市にて、イルミネーションが復興事業となってきた事を知り、「これしかない!」という確信を得ました。私達がいわきに灯したいと考えるイルミネーションは、大地を彩るものと「音楽と光」がコラボするものです。 |
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イルミネーションもよさこいの演舞同様、テーマを決め、それにそって創り上げる作品であることは同じであり、チーム全員で一つの作品を作り上げることも同じです。ただし、イルミネーションを行うには、その事業規模は遥かに大きくなりますので、今まで以上の沢山の仲間(才能)を必要とします。今後はイルミネーションを通して、新たな仲間との出会いも楽しみにしています。私達はイルミネーションについては素人集団ではありますが、今後そのノウハウを学んでいき、よさこいで積んだ経験も活かし、いわきを明るくするためにこれからも尽力したいと思っています。そして、その輝きが、被災地いわきの未来へ向かう光となることを心から願っています。
平成26年8月吉日
NPO法人
いわきイルミネーションプロジェクトチーム
理事長 若松圭子
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●2014.11 講習会にて |